ある日、DMにこのような質問が来ました。
一昔前の転生モノのテンプレのチート→学園入学→使い魔召喚→魔武器召喚みたいな流れの作品ってありますか?
率直に申し上げます。申し訳ないですが、そのテンプレに相当する作品に思い当たりが全くありません。 ですが、そういうテンプレの作品はありそうだと一瞬感じたので、思考の整理を兼ねて各要素ごとにどういう作品がエポックメイキングだったのか、そしてどんな作品が面白かったのかを考えてみたいと思います。
チート転生
チート転生というのは本当に多種多様で、人間じゃない種族に転生する作品から学園に入学する作品まで、ほんとうに沢山の種類があります。
転移モノまで入れると、古くはゼロの使い魔から始まる流れになると思います。
- 作者:ヤマグチ ノボル
- 発売日: 2004/06/22
- メディア: 文庫
その流れを決定づけた作品としては、やっぱり転スラやイセスマでしょうか。
- 作者:伏瀬
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: 単行本
- 作者:冬原パトラ
- 発売日: 2015/05/22
- メディア: 単行本
学園に入学するという要素を重視するなら、のうきんあたりも捨てがたいところです。
私、能力は平均値でって言ったよね! 1 (アース・スターノベル)
- 作者:FUNA
- 発売日: 2016/05/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
あとは、魔王学院の不適合者も(同一世界転生ですが)学園転生モノとして成立していると思います。
魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)
- 作者:秋
- 発売日: 2018/03/10
- メディア: 文庫
一口にチート転生といっても、色んな作品があり、これだけでどの作品が名作かというのは論ずるのが難しいところです。
個人的なイメージとして、「転生」モノより「転移」モノのほうが多いというイメージがあります。そして転生で学園モノはたいてい「悪役令嬢」になる傾向があると思っています。たとえばアルバート家とか庶民に嫁ぎたいとかラスボスとかですね…。
どうしてこうなるのかというと理由は明白で、ときメモGSの時代から乙女ゲーは学園モノと相場が決まっているからです。たぶん。 そのうえで、葉鍵時代から脈々と続く男性向けのギャルゲー経験者により、数々のギャルゲー風乙女ゲー(風世界観)が作り出されていき、いまの悪役令嬢世界観が完成したのです。(しみじみ)
そうした結果、お酒のために頑張ったり、猫を攻略する乙女ゲームだったりという変化球がどんどん生まれたんだと思います。
お酒のために乙女ゲー設定をぶち壊した結果、悪役令嬢がチート令嬢になりました (カドカワBOOKS)
- 作者:ゆなか
- 発売日: 2020/02/10
- メディア: 単行本
すごく脱線しましたが、使い魔・武器生成ものと学園モノを組み合わせた作品があまりないことをこれで理解してもらえたかと思います。かなり頑張って転生学園モノを探しましたが、この時点で全て振り落とされてしまった感じがします。
使い魔と武器生成
私が使い魔と武器生成というところで推したい作品は「魔王様の街づくり!」です。
魔王様の街づくり! ~最強のダンジョンは近代都市~ (GAノベル)
- 作者:月夜 涙
- 発売日: 2016/12/14
- メディア: 単行本
ファンタジー世界に現代武器と知識を持ち込むという、発想としては比較的ありがちな作品なんですが、それよりも「(幸せになれる)街を作ることで感情を食う」という発想力がとても素晴らしいと感じました。 あと、いつも横にいるヒロインが狐っ子でかわいいですし(表紙の子です)。 終始ロリコン疑惑を向けられている主人公ですけど、こんな可愛いヒロインなら仕方ないと思います。 個人的には終わり方とか続編とかには全く納得していないんですが、月夜涙さんの作品の中では比較的ダークさも抑えられていてキャラも可愛くて楽しく読める作品になっていると思います。
それ以外に使い魔が出てくる作品というとテイマーもの、でしょうか。
テイマーものというと今まっさきに上げたい作品は「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」です。
- 作者:ほのぼのる500
- 発売日: 2019/11/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
村の半端者として追い出された星無しテイマーのアイビー(5歳)の冒険譚です。おそらく転生者なのですが、前世の記憶もあまりなくふと出てくる現世知識に戸惑うあたりが可愛いのと、スライムのソラたちがいい味を出してくれてるのと…。まだ書籍になるのはだいぶ先になるのですが、ドルイドさんが出てきてからの話の動き方も大変によく、楽しみに読ませていただいています。こちらはまだ完結していないですし、書籍もまだ2巻が出る直前ぐらいということで、これからが期待できる作品かと思います。のんびりふわふわとした中にドロドロとしたことがあるお話が好きな人におすすめです。
それとテイマーものなら「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う」もおすすめです。
勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う (Kラノベブックス)
- 作者:深山 鈴
- 発売日: 2019/05/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
こちらはモンスター使役ものというよりは、男女バディもの×ハーレムものという感じの作品になっています。勇者パーティーを追放されて、そこから様々な最強種の女の子と出会い、最強種と契約することによって能力を伸ばしていく、ある種の追放からの英雄譚となっています。 当時の流行である追放ざまぁモノの要素もあるのですが、この作品におけるざまぁ対象の勇者はざまぁされるだけの悪行(?)をしてしまっているので、読者の罪悪感もありません。 仲間ってなんだっけというのを思い出させてくれる作品になっています。こちらもおすすめです。
使い魔、というか相棒を作るタイプで言うと「悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ」もあります。
悪いな勇者、このダンジョンは小人用なんだ 1 (オーバーラップノベルス)
- 作者:钁刈洸一
- 発売日: 2017/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
小人のダンジョンマスターとして転生をして、人形を本物にする能力で現世から持っていったフィギュアのキャラを嫁にして無双するお話です。 今回の条件のうち、学園以外は満たしているんじゃないかと思うぐらいにはそういうところを狙っている気がします。ですが、それ以前にこの作品の魅力はは小人という奇をてらったギミックにあると思います。 小人なので色々と消費が少なかったりとか、1/6スケールのフィギュアが主人公と等身大になったりとか、そういうところにこの作品の面白さが詰まっていると思います。 とにかくかわいい眷属たちとのハーレムライフが楽しい作品です。
武器生成でいうと、鍛冶屋もので「聖剣、解体しちゃいました」があります。
- 作者:心裡
- 発売日: 2017/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
森で聖剣を拾ってしまったトウキは、気がついたら聖剣を解体していて、気がついたら鍛冶スキルがチートレベルになっていたというお話です。 チート日用品が世界を救うという、ぶっ飛んだ鍛冶コメディです。鍛冶を中心にドタバタが続くので、読んでいて飽きないところがよいところです。 そんなに長くもなく、すでに完結しているのでおすすめです。
おわりに
質問にあった通りのテンプレ作品に心当たりはなかったですが、それぞれの要素は個別に使われていました。 結局、それぞれの要素が組み合わさったイメージとしてテンプレというのが生まれているのではないかと思います。 各要素でそれぞれ面白い作品がたくさんありますので、皆さんも是非スコップしたりしてみてください。
また、質問等あればメンションで気軽に聞いてもらえると助かります。 次のブログ記事のネタにいたします。 頑張ってブログも充実させていきたいです。
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